来年度(令和5年度)入学生から桜井高校の制服が60年ぶりに新しくなる。学校の伝統を継承しつつ、ジェンダーレスなど時代に対応したものにしようと生徒会が主体となって新制服を考案した。
新制服完成に向けたこれまでの動きを追う。
1 最初は、生徒会長の公約から
令和3年4月、「全国の高校では、ジェンダーレス化を取り入れた制服に変更する学校が増えてきた。本校は、他の学校と比べると、古いという意見を多く聞く。今の制服を一新すべきではないか。」という、生徒会長からの提案は、制服について考えさせられる一石を投じることとなった。
現行の制服は男子が詰め襟、女子が紺色の制服を着用している。
[現行の制服]
2 私たちは着られないけれど ~未来の桜井高校生へ~
【令和3年11月、報道委員会が制服に関するアンケートを実施】
「制服を見直す場合、何を見直すか」という質問に対し、「機能性や動きやすさ」が59%、「ジェンダーレス」が19%、「今の制服の良さを生かす」が16%という回答であった。
アンケートの結果を学校新聞に掲載し、「この機会に考えてみよう。制服や規則の意味を、桜井高校生が生き生きと楽しく、誇り高く学校生活を送るには何が大切かを。制服も規則も私たちのものなのだから。」(令和3年12月24日発行 桜高新聞 247号コラム)と呼びかけ、意識を高めてきた。
令和4年1月、生徒会と生徒指導部の先生方が話し合い、生徒会から校則や制服の見直し案が提案された。それを受けて、2月に制服検討委員会が設置され、制服のフルモデルチェンジを含めて検討を開始。
[生徒会で新制服の検討]
令和4年3月、全校生徒で校則や制服について考えるきっかけとするために、3月に制服や校則に関する全校一斉のHRが開かれた。
3 校則改定 ~スラックスとポロシャツの導入~
令和4年4月、校則を改定し、女子もスラックスの着用が可能となり、制服に複数パターンを設けて自己選択できるようにした。7月には男女とも紺色ニットポロシャツが導入され、盛夏服に新しい選択肢ができた。
[新しく導入されたポロシャツ(胸に「S」の刺繍)]
4 制服検討委員会発足
生徒会を中心とした生徒と、教員による制服検討委員会を設置。新制服の検討にあたり、コンセプトを次のように設定した。
【新制服のコンセプト】
- 桜井高校の伝統を継承しつつ、ダイバーシティやSDGsといった時代性に配慮する未来志向の制服を作り上げる。
- 生徒自身が、「ありたい桜井高校生」像をイメージできるもの、自信をもって着こなすことができるものとする。
- 機能面の向上により動きやすく、手入れのしやすい製品とし、生徒の学校生活でのWell-beingを高める。透け防止機能など適切な素材の採用で生徒の安全性を高める。
【制服改定に向けた4月からの流れ】
- 令和4年4月より、制服改定について職員会議で今後の予定を確認し、保護者にはPTA役員会で新制服の検討を進めていることを説明。
- 令和4年5月~6月に制服業者説明会、業者によるプレゼンを行い、業者を決定。
- 令和4年7月~9月に職員、生徒会、業者による検討会を7回実施。検討会には生徒会役員、制服業者、教員が参加し、意見やアイディアを出し合った。生徒はブレザースタイルとスーツスタイルのグループに分かれ、デザインや色、ネクタイやリボンの組み合わせを考え、ブレザースタイルで2案、スーツスタイルで3案にデザイン案を絞り込んだ。
[生地やデザインを検討]
[業者の方々に積極的に質問する生徒]
[多くのサンプルからデザインを検討]
[試着をして着心地を実感]
[デザイン案を絞り込んでいく]
[生徒会からの提案をまとめる]
[廊下に展示して生徒からの意見を集約]
[取り組み内容をラジオの生放送でPR]
【桜高祭(文化祭)でファッションショー開催】
9月22日の桜高祭(文化祭)では、公募で決まったモデルの生徒が候補の制服5案を着用し、ランウェイを歩くファッションショーを開催した。
ファッションショーをもとに生徒と職員が投票し、PTA役員からも意見をうかがった。
5 デザインがついに決定!!
10月末、生徒、教員、保護者等の意見をもとに検討し、これまで多くの検討を重ねてきたデザインがついに決定。
11月4日にコラーレで行われた芸術鑑賞会後、生徒に新制服を発表した。
【新制服デザインの特徴】
(1)伝統の紺色スーツ型を継承
- 織り模様(富山県の高校制服としては初めて導入)があり、現代の生徒の体型に合わせたシルエット
- 男女とも着用できるスラックス
- ストレッチ性があり、軽く、着心地も快適
- 家庭洗濯可能
- SAKURAIの「S」を意匠化したシルバーの刺繍を胸元に
- オリジナル前ボタンはSAKURAI HIGH SCHOOL」と「SINCE1909」が印字
(2)クレリックシャツ採用(白襟でサックスブルーの生地 県下の高校では初)
- 透け防止加工、速乾性、形態安定性に優れているため、アイロンがけが不要
- ニット素材で適度なストレッチ性とソフトな素材感
- ネクタイとリボンは桜井高校のイメージカラーである「さくら色」を取り入れた生徒のデザインを元に作成されたオリジナル柄
- オプションとして、ニットベスト及びニットセーターを用意
(3)夏服
- クレリックシャツの半袖タイプ
- スカート・スラックスは冬と同じ形・柄の夏生地版
- オプションとして、接触冷感性のある紺のニットポロシャツを用意
【地域の方々に新制服をお披露目】
11月6日に地元のショッピングセンターメルシーにて新制服を発表。
6 未来の桜井高校生へ
11月以降中学生向けの広報活動をすすめ、桜井高校の新制服を紹介・周知していく。
生徒が主体となって取り組んできた桜井高校制服プロジェクト。
今回改定された新制服がこれからの桜井高校のシンボルとなり、生徒自らが新しく、よりよいものに変えていく、桜井高校の新たな時代が始まろうとしている。
~ 未来をつくる 新制服とつくる ~
令和4年11月作成
【追記1】
7 服装規定が改定
新制服の導入にあわせて令和5年4月から運用の服装規定を改定。
11月~4月は冬服、5月~10月はクールビズ期間として、気候や体調に合わせてノーネクタイ、ベスト、セーター、ポロシャツを生徒が選べるようになった。
8 在校生の購入が可能に
令和5年入学生だけでなく、在校生も希望者は新制服を購入することができるようになった。
令和5年2月更新